岡本ホテル(熱海市) 概要・歴史
出資法違反事件の舞台となったホテル
岡本ホテルは静岡県熱海市にあったホテル。
1932(昭和7)年創業の老舗ホテルで、1970年代頃に全75室のホテルに改装されたらしい。
『知られざる魅力伊豆』(1980年、読売新聞社)には「陽が落ちてからの一ブロでは、美しい夜景が一望でき、旅の疲れをいっぺんに吹き飛ばす。ゆったりとしたロビー、年中泳げるアマゾン温泉プールなど楽しい設備が整い、くつろいだ気分で過ごせる」と紹介されている。また春は梅園や魚見崎、夏は熱海ロングビーチや花火大会、秋は熱海高原やサボテン公園、冬は後楽園遊園地と、季節による魅力をアピールした広告が確認できる。
『交通公社のエースガイド伊豆・箱根・富士』(日本交通公社、1987年)では「6階展望風呂は眺望良」「6階、89室」と紹介されている。増築されたのか、部屋数がかつてより増えている。
『日本の宿13 伊豆・箱根の温泉宿』(JTB、1993年11月)では大浴場や展望風呂、料理等についての説明がある。
バブル崩壊後に資金繰りが悪化、元山口組系暴力団員のオーナーの手に渡った。同オーナーは他の温泉地のホテルも買収、岡本ホテルグループを形成。「預託金を5年間預ければ元本を保証したうえで全国11か所のホテル宿泊権が得られる」という岡本倶楽部の預託金商法で急成長したが、5年後の2010年には預託金を返還できず、預託金の運営企業であったオー・エム・シーが倒産。全国の被害者約8,000人、200億円以上の被害が生じた。
オーナーは2013年に東京地方裁判所で懲役18年の実行判決を受け、東京高等裁判所へと控訴、棄却後に最高裁判所に上告したが2015年9月に棄却されて判決が確定、山形刑務所に収監され、刑期終了前の2020年1月に死亡している。
熱海岡本ホテルの建物はその後放置されていたが、2012年に解体。跡地は2014年に市役所の駐車場となっている。
跡地は熱海市が取得し、公共施設の建設が予定されているという。
なお、同じ岡本ホテルグループの伊東マンダリン岡本ホテルは、2018年6月16日に敷地の売買に関して、元伊東市長が警視庁捜査二課に収賄容疑で逮捕されている。