帝釈峡の洋館もどき 概要・歴史
ドーム屋根の廃洋館
帝釈峡の洋館もどきは広島県神石郡神石高原町にある別荘跡の通称。帝釈川ダム湖・神竜湖(しんりゅうこ)畔の崖の上、蓬莱山付近に位置する。
八角形のドーム屋根を備えた2階建ての洋館風建物と和風の木造平屋建てが一体化したような建築で、戦前に建設された別荘だった。襖の裏張りには大正期の新聞紙が使われている。
洋館部分は1階が食料庫、2階には古いテレビや冷蔵庫、1962年の新聞などが残されており。またクリスチャンが所有していたらしく、聖書やマリア像などが見られる。
帝釈川ダムからもドーム状の屋根が遠望できるものの、ダム脇の崖沿いの道から隧道を抜けた後は急峻な山地を分け入るしか道がなく、到達困難なことで知られる。
ただし別荘であったことを考えると、現役時や建設時には少なくとも徒歩で資材を運搬できる道があったと考えるのが自然で、実際、ダム湖と反対側の西方向からは山中に電柱が建てられ電気が通じている。この西側からのアプローチ路は、物件の所在する半島部分に至るまでは、草藪に覆われ道が不分明な箇所はあるものの、ほとんどが杉林で下草が薄く、アップダウンも少ないため徒歩であれば通行に支障はない。電線を辿っていけば道迷いのリスクも少ない。
ただし半島部分に近づいてからは杉林が途切れ、非常に急峻な地形になる上に道が熊笹に覆われてほとんどわからなくなり、通行困難になる。一見すると尾根沿いを真っ直ぐ進んだ先にあるようだが、実際は頂上より低い位置にあり、地形図に描かれた道とは異なり、半島付け根付近から左側(北側)にジグザグ道を降りて進まないと到達できない。このような厳しい地形にもかかわらず電気が引き込まれていることに驚かされる。
地形が厳しく道がわかりにくい上、同地付近はマムシの生息地であり、携帯電話の電波も届かない。基本的な山歩きの装備や経験なしで接近するのは命の危険がある。