小和田駅近くの廃ミゼット 概要・歴史
小和田駅名物のダイハツミゼット
小和田駅近くの廃ミゼットは静岡県浜松市天竜区にある廃車。
JR東海飯田線小和田駅(こわだえき)付近には天竜川沿いの住居跡北東側に1台(ミゼット①)、散策道を小和田駅そばの製茶工場付近から東の方に行った南側の斜面を登ったところに2台(ミゼット②③)、少なくとも3台の廃ミゼットがある。また他にもトンネル横の崖下に1台、崩落により進入できなくなった林道門谷線に2台のミゼットがあるらしい。
これらのうち住居跡北東側の1台については、観光列車である飯田線秘境駅号で配布されるガイドにも掲載されており、また列車のアナウンスで「小和田駅名物のダイハツミゼット」と紹介されている。比較的容易に確認でき、1960年式ミゼットMP4前期型らしく、外れた後輪が傍らに転がっている。
斜面の上の2台のうち転倒していないものは1962年式ミゼットMP4後期型らしい。これらは見学に危険が伴うためか公式にはアナウンスされていない。
小和田駅は現在道路が通じておらず自動車で訪問できないことなどから、鉄道ファンには秘境駅の一つとして知られている。そのためこれらのミゼットは、何のためにどうやってこの場所まで来てどうして放棄されたのか、ミステリアスな存在となっている。
小和田駅周辺は、1936年に開業し1957年竣工の佐久間ダムにより水没するまでは商店や工場、住居、鉄道関係者のための宿舎等があり、小和田駅の西約1kmの天竜川対岸にあった佐太集落との間に佐太橋(1923年竣工)が架かっていた。
しかしこれらのミゼットは佐久間ダムの湛水開始した1955年より後の年式のため対岸から入ってきたとは考えにくい。上流の放置車両が増水によりここまで流されてきたとの可能性も否定はし切れないが、門谷集落から入ってきてここに放置された可能性が高い。門谷集落は1970年頃に人口が流出し実質的な廃集落となっているため、放置もこの頃と考えられる。
ダイハツ・ミゼットはダイハツ工業が1957年から1972年まで生産・販売していたオート三輪(軽自動車規格の三輪自動車)で、「街のヘリコプター」のキャッチフレーズや「みんみんミゼット」のコマーシャルソング、テレビCMのいち早い活用例として知られ、1950年代末のオート三輪ブームにおいて一世を風靡した。