北村荘グランドホテル(宇宙回転温泉) 概要・歴史
「寅次郎物語」ロケ地
北村荘グランドホテルは、和歌山県和歌山市の和歌浦にあったホテル跡。
鉄筋地下1階、地上5階、延べ8890㎡、客室数110室のホテルとして開業。時期については1962(昭和37)年とも言われるが、『和歌山年鑑 1983年版』(ニュース和歌山、1982年11月)では1958(昭和33)年とされている。1階に長さ15m、5コースのプール、5階に同型の回転浴場が男女各一つ備えていた。
回転浴場は「宇宙回転温泉」と称し、部屋の名前も「北極星」「すい星」「オリオン」「ボストーク」など、宇宙にちなむ名称だった。増築を繰り返し、本館、新館、別館から成る和歌浦最大のホテルとなった。
1970(昭和45)年の万博、1971(昭和46)年の黒潮国体当時は年間宿泊客6万5,000人、約6億円の売上があったが、1973(昭和48)年のオイルショック以後和歌浦全体の客足減少もあって同ホテルの宿泊客も20~30%ダウン。
1982(昭和57)年3月12日に約7億円の負債を抱えて事実上倒産したが、労使双方で経営委員会を設け経営を継続した。
豪華な建物の一つは、1987(昭和62)年公開の映画『男はつらいよ』第39作の「寅次郎物語」(山田洋次監督)のロケ地に利用されている。
バブル崩壊後の団体客の減少、旅行形態の変化等により客足が遠のき、1994(平成6)年に閉業した。
その後は放置され朽ち果てるままとなり、地元で有名な肝試しスポットとされ、巨大豪華廃墟として全国的に知られる存在となった。また野良犬の巣窟になっていたという。
2005(平成17)年に解体。
跡地は太陽光発電施設となっている。
(※参考:『和歌山年鑑 1983年版』(ニュース和歌山、1982年11月))
解体され現存していません
2011-11-24
2024-01-21