魚又楼 概要・歴史
雑賀衆ゆかりの宿
魚又楼(うおまたろう)は和歌山県和歌山市にあった旅館。奥和歌浦とも呼ばれる雑賀崎地区にあり、県道151号線沿いに位置する。
新館と旧館があり、両建物の間は通路で繋がっている。旧館は1957年に開業したらしく、また新館は1967年6月に建設されている。
新館2階には大型の宴会場があり、3~5階にそれぞれ客室があった。
館内には1969年の映画「尻啖え孫市(しりくらえまごいち)」の主人公である雑賀孫市(さいか まごいち)が着用していた陣羽織があったらしく、加えて雑賀一族会による会合が複数回行われた事もあったという。魚又楼の社長も雑賀姓の方だったため、それが縁となっているものと推測される。
冬季限定で孫市鍋という料理を食べることができたという。これは戦国時代に雑賀衆(さいかしゅう)が本願寺の顕如上人をもてなした際の献立を古文書を基に再現したものらしい。雑賀衆とは、中世の日本に存在した鉄砲傭兵・地侍集団の一つである。
少なくとも2007年頃までは営業しており、新館は2007年頃、旧館は2005年頃までは使用されていたらしい。2008年初頭まではホームページが存在し更新が続いていたため、2008年の閉業と推測される。
2018年10月時点で5階建て建物の新館が道路沿いにある他、海側には木造の旧館も見られ、かなりきれいな状態で残されていた。
旧館は2021年6月頃から解体工事が行われ、7月下旬までに完了、完全に更地となっている。
新館についても、同じ時期にかつて見られなかった立ち入り禁止および警告文が貼られ、入り口の定礎石も撤去された。また2021年7月14日に和歌山市のホテル経営会社が所在地を魚又楼の住所に移しているため、同社が所有しているものと見られる。2021年11月時点では解体も再利用もされず、シャッターに以前はなかった落書きが確認できる一方、窓や扉はすべて封鎖され管理されている。