龍宮かに荘 概要・歴史
台風で破壊された龍宮城
龍宮かに荘は佐賀県藤津郡太良町にあった旅館、飲食施設。長崎県との境にある竹崎島に位置する。
龍宮城のような城の形をしたユニークな建築である。名物「竹崎蟹」の料理で知られ、太良温泉で最初の源泉を引湯した温泉でもあった。
開業時期不詳ながら、太良温泉(たらおんせん、たら竹崎温泉、太良海浜温泉)の開湯した1972(昭和47)年頃と推測される。現存する建物は建て替えられた2代目らしい。1階にフロント、ロビー、喫茶・スナックおよび101~112号の客室、2階に201~203の客室および宴会場、大浴場があった。宴会場は「浦島」「乙姫」「亀」と浦島太郎にちなんだ名称が付けられていた。
『日本の郷土料理 11』(石毛直道、ぎょうせい、1986年3月)には「有明海でとれる竹崎カニをいけすに放ち、調理寸前にとりだすようにしている」「秘伝のタレで食べる姿煮はいうことなし」と紹介されている。
同地はこの竹崎カニ発祥の地であり、龍宮かに荘の傍らには龍宮かに荘初代当主である石田仁一翁の顕彰碑とともに、以下の説明板が設置されている。
「この顕彰之碑が経っている場所は龍宮かに荘初代石田仁一翁が昭和二十三年八月太良町で初めて学名(ガザミ蟹)を竹崎かにと命名して世に送り出した当時のかに炊事場跡地である。記 昭和六十二年七月吉日」
そのすぐ隣には、1995年7月に龍宮かに荘により設置された「竹崎島誕生の由来」の案内板があり、竹崎島は1971(昭和46)年に松本徰夫(ゆきお)博士によって竹崎火山と命名された単独火山と説明されている。
かつては龍宮かに荘のホームページがあり、社長の詩吟が聞けるようになっていたが、現存していない。
2000年代中頃までは営業していたらしく、電話帳には2005年まで記載がある。台風被害により閉業を余儀なくされたという。
2014年時点で壁や天井が剥落し、かなり朽ちた状態となっていた。
2024年11月時点で現存し、建物外観は往時のままながら、内部は天井が落ちて劣化が進んでいる。