シトラスパーク瀬戸田 概要・歴史
レモンの島に残された柑橘類テーマパーク
シトラスパーク瀬戸田は広島県尾道市にあったテーマパーク、公園。生口島(いくちじま)の生口島南IC付近、しまなみ海道に近接し、県道317号生口島環状線から山道を進んだところに位置する。
広島県および瀬戸田町と内海造船(株)による第3セクター施設で、日本初の柑橘類をテーマとした公園として1998年3月に開業した。平成初めに県知事を務めた竹下虎之助氏が、造船業不況打開の一助として計画した「園芸ベルト構想」の一環で、向島、因島に設けられた園芸施設に続くものだった。1991年に生口島に橋がかかったことが契機となった。
園内には世界各地の柑橘類が植えられており、子供用アスレチック、食堂、柑橘類の資料館、香水が楽しめる「香りの館」等の施設があった。高台にあるため瀬戸内海の景色を一望することもできた。
1999年にしまなみ海道が開通したことで周辺地域は観光にわき、一時は年間52万人が訪れたが、ブームが過ぎ去ると来客数が激減し、2003年に指定管理者である(株)シトラスパークは解散、翌年より瀬戸田町の管理する無料公園施設となった。
その後も入場者数はピークの10分の1のまま回復せず、2005年以降の平成大合併により管理を継承した尾道市は、しまなみ海道で興っていたサイクリングブームを元に「健康」をテーマとした新たな施設としてリニューアルすることを決め、県が保有していた敷地を無償で譲り受け、2015年末をもってシトラスパーク瀬戸田を一旦閉鎖とした。
しかしその後は、温室等一部施設の解体を除いて明確なリニューアル工事が行われることはなく、尾道市ホームページでも「リニューアルのため一時閉鎖中」のまま更新されていない。
2019年11月時点で、駐車場はひび割れ雑草が繁茂しており、一部は県営のため池工事用の土の仮置き場になっている。正面ゲートは板により封鎖されているが立入禁止の看板等はなく、カメラによる警備も行われていない。
ゲート横の事務所には書類や備品、自転車、お土産、パンフレット等がおそらくは営業時のまま残されており、カレンダーやホワイトボードは閉鎖された2015年12月のままである。事務所横には券売機があるが、2004年には既に無料開放されていたため、現役時から貨幣投入口が塞がれ放置されている。
正面ゲートから奥には、車椅子用の通路が食堂のある建物まで延びているが、土で覆われており植物が繁茂している。入口はシャッターが下ろされている。ゲートから入り階段を下りるとオレンジ型のオブジェがあるが、表面が剥離し、周辺は砂だらけである。階段前は「泉の広場」になっているが、噴水は停まっており、周辺の大きなパラソルはすべて閉じられている。
園内各地に世界の様々な柑橘類が植えられているが、まったく管理はされておらず、落ちた果実は根元や通路の端に放置されている。インフォメーションセンターの屋根には錆が浮いており、内部の破損はないが、一時期開け放たれていたのか枝や葉が散乱している。近くには食堂兼お土産店、およびキッズコーナーの建物があり、特に破損・劣化は見られない。
さらに階段を下りると子供用アスレチックがあるが、周辺に黄色テープが張られ使用ができなくなっている(無料開放時から使用されていないらしい)。また園内を回る乗物(SL?)があったらしく、レールが広範囲にわたって延びているが、肝心の乗物は見当たらない。
「臨時開園時間内地図」として無料開放時の注意書き看板もあり、これによると柑橘類資料館(パビリオン)および展示温室は撤去され、またトイレおよび水道もすべて使用不可になっていたらしい。
さらに奥に行くと、オリジナルコロン等も作ることのできた「香りの館」を構成する複数の建物があるが、すべて閉鎖されており、外部破損はないが内部に葉や枝、鳥の糞等が散乱している。テーブル、椅子、電話等はそのまま残されている。調合教室と見られる建物内には、様々な名称の書かれたビンがテーブルに放置されている。
敷地端には管理事務所らしい建物があり、周辺には看板や備品、園内移動用のカート等が散乱している。
なお、生口島北ICから降りてすぐの分かれ道には「耕三寺博物館」「平山郁夫美術館」等の主要観光地とともに当物件の看板が変わらず設置されており、県道317号沿いにも多数同様の看板が見られる。また、施設は閉鎖されたものの柑橘類の生産そのものは続いており、特にレモンの生産は生口島が全国一であり、「瀬戸内の国産レモン」として全国ニュースでも取り上げられるようになっている。
その後しばらく状況が変わらなかったが、新たにグランピング施設やレモン農場が新設された上で2022年8月より「LEMON FARM GLAMPINGしまなみ」として再開業し、現在は現役営業している。