鳥羽ロイヤルホテル(TRホテル) 概要・歴史
社員寮地下からモナザイト
鳥羽ロイヤルホテルは、三重県鳥羽市にあったホテル。安楽島町の高台に位置する。「Tロイヤルホテル」「TRホテル」「TBロイヤル」等と表記されていることもある。
1972年に開業。地上9階建て全85室500名収容、総工費8億円とも言われる豪華ホテルで、崖際に位置するためフロントやロビーのある入り口は5階にあたり、1階に大浴場と中宴会場、2階に大宴会場やナイトクラブ、ラーメン店が配されていた。5階には他にゲームコーナーやダイニングルームがあり、その他の階については3階に201、301~317、4階に401~419、6階に601~612、7階に701~712、8会に801~812、9階に901~911と、なぜか3階に200番代の客室があった。
昭和50年代に放送されたテレビドラマ「特別機動捜査隊」で複数回ロケ地として使用されている。
なお、新築当時からこのドラマ内に登場している頃と現存する建物を比較すると、外壁の「鳥羽ロイヤルホテル」の文字の有無、エントランス横のロゴのデザインなどが異なる(かつては横一列にRマークとホテル名、現在はRマークの下にホテル名)。かつてのパンフレットに「装いも新たに」の文言と共に現在と同じ状態の建物写真が掲載されているため、正確な時期は不明だが大規模なリニューアルが行われたらしい。
1994年度は約8億円売上げていたが、1997年度は売上が半減。1998年3月に負債総額約23億円で事実上倒産した。
2000年6月上旬に首相官邸と文部省など9省庁にウランやトリウムを含む鉱石「モナザイト」を細かく砕いた粉末数グラムが入った封筒が送り付けられる事件が発生した。これが契機となり行われた調査により、各地で原子炉等規制法に違反した状態で大量のモナザイトが保管されていることがわかり、鳥羽ロイヤルホテル社員寮敷地の地中約20センチからもモナザイト約8キロが発見された。元経営者の男性が転売目的で購入、保管していたものだという。この社員寮はMパールの位置にあったものと考えられる。
2009年2月には、鳥羽ロイヤルホテル解体工事の地元対策費と偽り、建設会社から800万円をだまし取ったとして、詐欺容疑で世田谷区の男性らが逮捕されている。
2017年夏頃に解体作業が開始され、バリケードがすべて撤去されて正面5階のロビー部分に大量の瓦礫の山が確認されたが、同年秋頃より作業が行われなくなり、2018年1月時点で再び放置状態となった。
2020年1月に鳥羽ロイヤルホテルの再建を目指していた現ホテル所有者が横領事件で逮捕。冤罪が疑われるとの見方もあり、被告は上告しその後保釈されている。
2022年11月時点で建物は経年劣化や人的破壊により多くのガラスが損壊する朽ちた状態となり、無数の鳥の棲家となっている。建物前には破壊された廃車が放置されている。
2023年5月7日に放火と見られる火災が発生、5階と6階にあった廃材や壁面が燃えている。
なお、ホテルのすぐ東側にある学校法人の研修センターおよびその南に隣接する社員寮も不使用状態になっているらしい。