水井鉱山 概要・歴史
水井鉱山(すいいこうざん)は徳島県阿南市にあった鉱山。
四国でも稀な水銀鉱山で、一時期は日本有数の鉱山として知られた。発祥は江戸時代に遡る。
近代に入り1893(明治26)年3月より蛇目辰主郎らが採掘、第一次世界大戦後の水銀価格下落により休止。昭和初頭には鉱区を佐々木坑周辺のみに縮小し、鉱業権は松崎専治氏に譲渡された。
1940(昭和15)年に釜山在住の由岐潔治氏が再開。第二次世界大戦後は資金が途絶えるも、1948(昭和23)年に由岐氏が再開。戦後数年の間、水銀を産出していたが、次第に枯渇し再び休止した。
その後に鉱業権を取得した野村鉱業KKは、1960(昭和35)年に鉱種をマンガンに変更して採掘したが、経営状態が芳しくなく、1961(昭和36)年頃を最後に閉山した。由岐・丹波坑・佐々木坑・松崎坑・辰坑があったらしい。
坑口跡が残る。
また付近には、若杉山遺跡がある。弥生時代後期から古墳時代初頭にかけて、赤色の顔料となる鉱物「辰砂」の採掘が全国で唯一確認されている。2018年初頭に坑道の発見が報道されている。
2022-05-19