https://tsunami-dl.jp/document/004
昭和十九年十二月七日午後一時三十六分その日の午後の第一限(島勝小学校時)は図画の時闇で「水洗」に水を用意しパレットを開けていた。ちょうどその時「ドドドド」という音と同時に校舎が揺れだした。皆大騒ぎ。机の上の物が落ちる。「水洗」の水があちこちでこぼれ出す。隣の教室からは、廊下へ飛び山す騒ぎ声。「机の下へ入れ!」ふりしぼるような強い先生の声だった。大きな揺れが続いた。今にも木造校舎が倒れるのでほないかと思い恐ろしかった。私は机の下からふと先生を見たら、先生は手を後ろにくみ、揺れる中を悠々と(私の目にはそう見えた)歩いて、教室の入り口と出口の戸を開けていた。女子師範学校を出たばかりの女の先生だったが、すごい勇気のある姿を見たように思った。なぜか、私たちの学級は静かだった。隣の学級では、窓から飛び降りようとした子がいたり、階段近くの学級では、教室を飛び出して逃げようとしたが、階段で将棋倒しになり動けなくなっていた。