文魁記念館ロードイン長城 概要・歴史
兵馬俑殺人事件の舞台
文魁記念館ロードイン長城(ぶんかいきねんかん)は、岐阜県中津川市(旧・恵那郡付知町)にあった施設。国道256号尾ケ平交差点近くに位置する。
1992年6月25日に博物館を併設するユニークなドライブインとしてサンプランズ社が開館。
真っ赤な中華風建物と中世ヨーロッパ調の石垣で出来た城が組み合わされた特徴的な建築で、中国北京郊外の八達嶺にある万里の長城のいち部分を模して作られた。建物の積石には地元特産の基礎石と美濃石が3000トン以上使われた。館内には中国古代の彩陶から清朝時代の粉彩に至る約250点の陶磁器類が展示されていた。
また貴重な秦の兵馬俑が展示品にあるのが話題となったが、貴重な文化財が日本にあることも不自然で、真贋論争が巻き起こった。
博物館自体も、入場料が1800円と割高であったことやバブル崩壊などにより客足が遠のき、1996年11月に閉館、12月に破産宣告がおりている。
経営が傾いたことから兵馬俑の何体かが売りに出されたこと、閉館前の1996年10月11日にサンプランズ社長の桐本氏が変死していること、さらに兵馬俑を入手した専門学校の理事長が1997年3月21日に刺殺されたことから、「兵馬俑殺人事件」として話題になった。兵馬俑の所有権を巡る争いから殺人事件にまで発展したらしい。
桐本氏は81体の兵馬俑を入手していたが、1997年時点で管財人の管理下にあったのは58体で、その差23体のうち20体は名古屋の古美術商が購入しているが、鑑定により13体が偽物とわかり、詐欺として告発している。残る3体は行方不明となっている。
2005年時点で建物は長年使われておらず、広い駐車場の隅でレンタルビデオ店のみが営業していた。
博物館は2007年頃に解体され、兵馬俑についてはその後続報がない。
(※参考:雑誌『富士通ジャーナル』(富士通マーケティング本部eマーケティング部、1992年12月)、雑誌『中部財界』(中部財界社、1997年6月))