王子軽便鉄道 概要・歴史
王子軽便鉄道は北海道苫小牧市にあった軽便鉄道。王子製紙苫小牧工場から千歳川上流の自社工場向け水力発電所や支笏湖畔とを結んでいた。
1908(明治41)年、発電所の建設資材運搬のために敷設された。その後、支笏湖周辺や樽前山麓の御料林からの木材運搬にも使用された。
1922(大正11)年からは一般旅客にも用いられた。
1936(昭和11)年頃からは、支笏湖対岸の美笛(びふえ)から、湖上運搬船を経由した千歳鉱山(美笛鉱山・千徳鉱山)の金鉱石運搬も行っていた。
戦後は道路整備が進んだことからトラックや苫小牧市営バスなどの自動車に押され、1951(昭和26)年5月10日に廃止となった。
苫小牧市民は海側に敷設された苫小牧軽便鉄道(後の日高線、現在の日高本線)を通称「浜線」、山側に敷設されたこの専用線を通称「山線」と呼んで親しんでいた。
廃線跡はほとんどが自転車道や道路などに転用されている。
支笏湖湖畔にかかる山線鉄橋は、1899(明治32)年に北海道官設鉄道上川線に「第一空知川橋梁」として空知川に架けられていたものが、1923(大正12)年に王子製紙の専用軽便鉄道として現在の場所に移された英国製ダブルワーレントラス橋である。1967(昭和42)年に王子製紙から千歳市に寄贈され、道路橋・歩道橋に転用された。老朽化のため1995(平成7)年から3年間にわたる解体修復工事が行われた。2007(平成19)年、経済産業省の近代産業遺産に認定された。
また、かつての分岐点駅には、「分岐点」というバス停が残っている。
地図は山線鉄橋。
2014-02-09
2020-05-15