大上みかん園 概要・歴史
朽ち果てたみかん園
大上みかん園は静岡県賀茂郡東伊豆町にあったみかん農場。「大○みかん園」等として紹介されていることもある。
1970年前後の開業と推測され、1978年時点で2棟の建物が同位置に確認できる。みかん狩りの他、バーベキューなども楽しめたらしい。
『江戸城・大阪城と伊豆石 : 伊豆稲取』(稲取ふるさと学級、1979年5月)では、「稲取の刻印石」の項目の中で「奈良本の屋号大上みかん園の庭園の石橋として使用されている」と、城の石垣に使われていた石が用いられていることが触れられている。『ブルーガイドパック13伊豆』(1979年、実業之日本社)の地図にも記載がある。
『Uガイド16 伊豆』(昭文社、1988年4月第2版発行)に記載されていることから少なくとも1988年時点では営業しているが、1993年以降の電話帳には一切記載がなく、1990年前後頃に閉業したものと考えられる。
2004年時点で閉業後相当年数が経過しており、施設は草木に埋もれ、錆びついた送迎バスの廃車、「手荷物置き場」の文字が残る小屋、天井の半ば落ちた「みかん園」の主となる建物などが残っている。
2023年11月時点で、道路から近い箇所に「大上みかん園」と書かれた建物が残っている。この建物は屋根が抜け落ち崩壊寸前だが、往時のガラスケースやコーヒー自販機、レジスター、椅子や食器などが見られる。囲炉裏状の設備があり、受付・飲食施設だったらしい。
ここから山を登っていくと、ボイラー設備、小規模な平屋建て建物がある。この平屋建て建物も壁が崩れ天井が落ち崩壊が進んでいるが、ステレオやソファなどの残留物が見られる。「大上みかん園」との関係ははっきりしないが、住居跡と考えられる。
なお、熱海市内には「大上園」という同名のミカン園があるが、別施設であり現在も営業している。