ホテル藤原郷 概要・歴史
「浮遊霊の巣窟」としてテレビに登場
ホテル藤原郷は群馬県利根郡みなかみ町にあったホテル。県道63号線奥利根ゆけむり街道沿いに位置する。
1959(昭和34)年10月13日、藤原ダムの竣工を機に創業した。以来、当地は「藤原湖温泉」を名乗り、藤原郷に伝わる日本武尊の開湯伝説に基づく内湯「武尊の霊泉」と、藤原湖を眺望する露天風呂「静魂」を売りとして賑わった。創業者の林賢二氏は藤原ダム建設対策期成同盟委員長、町議、観光協会長も務めた村の名士であった。
「交通公社のポケットガイドNo.17 赤城・草津・苗場」(日本交通公社、1987年9月改訂10版発行)では「落人料理」が名物として紹介されている。藤原湖近くに落ち延びた藤原の落人が食べたものだといい、おにぎりを駆使にさし味噌をつけて焼いた「ボタ」などがあったらしい。
バブル期ははこの落人料理「ざるめし」などを看板に繁盛し売上は2億を超えたというが、2004(平成16)年8月、水上温泉郷における温泉偽装問題が発覚すると、温泉宿を謳いながら温泉水を使用していないと判明した宿のリストの中にホテル藤原郷が含まれていた。ホテル藤原郷の場合、「温泉水は近隣の湯の小屋温泉から運んでいる」と説明していたが、事実ではなかった。この温泉偽装によって藤原湖温泉は温泉としての存在事由を根底から疑われる事となり、2007 (平成19)年9月頃に閉館、2007(平成19)年10月18日に負債総額約1億2000万で事業停止した。
閉業後に心霊スポット等の噂が立ち、2014年には「浮遊霊の巣窟」等としてテレビ番組で取り上げられたことから荒れた状態となり、多くの窓ガラスが損壊、無数の落書きが見られる状態となっている。なお心霊的な噂は根も葉もない都市伝説の域を出るものではない。
建物は2021(令和3)年7月時点で現存し、県道沿いには「お食事処」「露天・岩風呂」「安らぎの宿」「ホテル藤原郷」の看板が残る。