那須ホテル 概要・歴史
風の吹き抜ける絶景廃ホテル
那須ホテルは、栃木県那須郡那須町にあったホテル。ボルケーノハイウェイ沿い、那須高原展望台近くに位置する。
もともとバス事業などを中心としていた関東自動車(株)が、1953(昭和28)年10月に毛利元海氏所有の山林を譲り受けたことで、将来の観光地として那須高原開発が計画されたことに始まる。1959(昭和34)年の株主総会にて直営ホテル建設の議案が決議されて建設が開始、温泉掘削なども行われ、1961(昭和36)年6月20日に竣工した。
総工費1億5千万園、鉄筋コンクリート造地上3階地下1階建て全33室のデラックスホテルで、その威容は「緑の大海原に巨船がぽっかり浮かぶよう」と形容された。
モダンなデザインの大浴場、広々としたロビー、見晴らしの良いボールルーム、大小宴会場、洋風の食堂、バー、娯楽室、展望室などが備えられ、庭園には白樺や芝生が配された。また送迎用にマイクロバスとジープが用意された。
国際観光旅館に登録、1963(昭和38)年10月には鉄骨モルタル造の娯楽室を新設、ビリヤードや卓球台を備えている。
那須五峰の茶臼・朝日・三本槍・南月・黒尾谷の山の幸と鶏肉、エビなどを水炊き風にした「五峰鍋」を名物とし、1962(昭和37)年冬季シーズンにはこの「五峰鍋試食会」を目玉とするキャンペーンを張り、バス部門とタイアップして特別団体募集を行っている。
高度成長期、バブル期を通じて大いに賑わったが、バス団体旅行から個人旅行へと流れが変わったこと、施設老朽化などもあり2005年1月に閉業した。
施設は産業再生機構に買い取られたらしいが、内装の撤去されたコンクリート剥き出しの状態で長らく放置された。
2018年12月時点で多くのガラスが損壊、一部に火災跡が見られ、遮るもののない風が吹き込む荒涼とした様相となっている。一方で朽ちてなおわかる美麗かつ豪奢な建築、息を飲むような美しい眺望は、多くの廃墟ファンを魅了した。
2021年に全天候型オートキャンプ場に転用され、ホテル跡はシェルターとして利用されている。現在は廃墟ではない。
(※参考:『関東自動車株式会社四十年史』(関東自動車、1967年))