TBS樽前ハイランド 概要・歴史
森と湖の大自然を生かしたファミリーランド
TBS樽前ハイランド(ティービーエスたるまえハイランド)は北海道苫小牧市にあったレジャー施設。
第一期工事は330万㎡の敷地内に総工費5億5千万円が投じられ、鉄筋コンクリート地上4階地下2階建てホテル、同平屋建て温水プール、同2階ヘルスセンターなどの施設が建設された。
1970(昭和45)年11月11日に200人収容の大広間を備えたヘルスセンターが先行オープンし、翌1971(昭和46)年には貸しボートやゲーム施設なども開業した。「森と湖の大自然を生かしたファミリーランド」の触れ込みだった。
他に温泉やポニー牧場や動物園、しいたけ園、またチェーンタワー、豆汽車、トラバンド、スペースショップ、グランプリ、バッテリーカー、レールカー、トリッピング、ゴーカートなど12機種の遊具を備え、フラミンゴ200羽によるショーと「あっ樽前!(当ったり前)」のコマーシャルで知られるようになった。フラミンゴショーは国内ではこのTBS樽前ハイランドと行川アイランドでしか見られないものだったという。またアイヌ住居の復元建築(チセ)2棟も設置されていた。
1971~1972年放送のドラマ「なんたって18歳!」(TBS系列、大映テレビ制作、岡崎友紀主演)や、1971年放送のボウリングスポ根ドラマ「美しきチャレンジャー」12話(TBS系列、新藤恵美など出演)のロケ地となっており、中森明菜やシブガキ隊がショーを行ったことがあるという。
夕張や留寿都に開業した大型レジャー施設に客足を奪われる等により経営不振に陥り、1987(昭和62)年に閉業。遊具などの設備は撤去された。
経営元だったTBS不動産は元々はテナントビル「TBS会館」の管理のためにTBSが設けた子会社で、後にTBS興発と改称しレジャー産業に進出。TBS樽前ハイランドも同社がTBS本社と共同で手掛けた事業の一つだったが、建設費の高騰や冬季の長期閉鎖などから負担となっていた。ドラマのロケ地として利用されたのも、こうした負担を少しでも軽減することが一つの目的だったらしい。なお、TBS興発は1975(昭和50)年4月に三井不動産に譲渡されている。
2011年時点で、舗装された路面、階段跡、建物基礎跡、時計台、コンクリート柱など、わずかな痕跡が確認されている。
2024年8月現在、建物等は一切見当たらず、見渡す限りの森の中に道跡やゴーカートやレールカーのコース跡がかろうじて残っている。コースの立体交差がほぼ唯一現存する構造物となっている。
また、道路沿いに苫小牧市営バスの「樽前ハイランド」バス停が残っている。
(※参考:『苫小牧市史 追補編』(苫小牧市、2001年3月)、『レジャーランド(遊園地) 消費生活関連比較情報』(国民生活センター、1977年3月)、『日本ビルヂング協会連合会三十年史』(日本ビルヂング協会連合会、1970年))