日の岬国民宿舎(アメリカ村資料館) 概要・歴史
三尾村とカナダの縁が静かに眠る
日の岬国民宿舎は和歌山県日高郡美浜町の国民宿舎。日の岬パーク内に位置する。「日の岬シティーホテル」を兼ねていた。
1968~1973年に開設された3階建て一部4階建て宿泊施設で、1階にはフロント、ロビーのほか、大食堂、110名収容の大広間があり、2階には90畳の宴会場を、さらに4階には展望大浴場を備えていた。客室は和室5部屋、洋室10部屋の合計15部屋があり、宿泊のほか日帰り入浴も受け付けていた。
「エアリアガイド23 伊勢・志摩・南紀」(昭文社、1985年9月第6版発行)には「宿舎から紀伊水道の展望が素晴らしい」と紹介されている。
南側にカナダ資料館(アメリカ村資料館)を併設し、また周囲にはクヌッセン胸像、日の岬神社、徳本上人像などがある。
同地にカナダ資料館(アメリカ村資料館)があるのは、1888(明治21)年に三尾出身の工野儀兵衛がカナダに渡航したのを皮切りに三尾からカナダ・スティーブストンへの集団的な移民が始まり、三尾出身のカナダ移民が日系移民社会の一大勢力となったことに由来する。彼らの仕送りにより三尾は富裕な村となり、また出稼ぎから帰国した人々がカナダのロッジ風の民家を建てる等したことから、三尾村は「アメリカ村」として知られるようになった。
また1957年2月10日に、神戸港へ向けて航海中だったデンマーク船エレンマースク号が、日ノ御埼灯台西の沖合で火災を起こしている「高砂丸」を発見。大荒れの天気にも関わらず救助に向かった同船のクヌッセン機関長が、そのまま命を落とす結果となってしまった。その勇気を湛え感謝するため、クヌッセン機関長の胸像が設置されている。
日の岬国民宿舎は2015年1月31日に休業。アメリカ村資料館も同時に休業したが、資料館そのものは2018年7月に三尾地区の古民家に移転して再開している。
近くには「ケープトレイン」という足漕ぎのモノレールの遊具が設置されていたが、2016年時点で錆びついているのが確認されている。
2022年12月時点で日の岬国民宿舎、資料館共に建物は現存し、大きな損壊もなく管理されている。
資料館に隣接する日の岬パークはサイ、ラクダ、カメなどの動物像や消防車などが展示されており、珍スポットとしても人気がある。
クヌッセン機関長の胸像は管理されているが、周辺には雑草が茂り、脇の東屋は朽ちて落書きがされている。
また日の岬には他にカラオケ・ブルートレイン、日の岬のバンガロー村がある。