アクア小与島 概要・歴史
瀬戸大橋ブームと共に潰えたホテル
アクア小与島(あくあこよしま)は香川県坂出市の小与島にあるホテル。
ホテル・ラ・レインボーと同じ(株)ラ・レインボーの経営で、1988(昭和63)年の瀬戸大橋開通に合わせて建設された。地中海風のオレンジ屋根と白壁が印象的な3階建てで、28室全室オーシャンビューの豪華リゾートホテルだった。島全体をベネチア風リゾートアイランドとして開発する計画だったらしい。
「オープン後間もなく破綻して閉鎖された」とも言われているが『マップルマガジン四国』(昭文社、1997年1月)にも「白い外壁とオレンジ色の屋根がまるで地中海のリゾートホテルのよう。展望浴場、プール、プライベートビーチ、テニスコートなど施設は充実」と紹介されている。「与島から専用艇で5分」と、船での送迎が前提となっていた。
『マップルガイド37 四国 小豆島・淡路島』(昭文社、1995年7月2版1刷発行)では「知る人ぞ知る穴場的な人気ホテル」と紹介されている。
また雑誌『海難と審判』(海難審判協会、1994年2月)よると、1991年10月30日に日本ゴルフ開発株式会社所属の船「アクア小与島(7)」が小与島付近の干出岩に接触、沈没している。船名と位置から、同ホテルの送迎船だったらしい。
経営元の(株)ラ・レインボーは1997(平成9)年に倒産している一方、電話帳には1999(平成11)年まで記載がある。正確な閉業時期は不明だが、2000年までには閉業していたものと考えられる。
アクア小与島は2007(平成19)年国税局によって3615万円で民間に売却されたが、その後開発されることもなく、2024年5月現在、建物は現存し、瀬戸大橋上からも遠く望むことができる。建物は部分的に雨漏りで腐食が進み、また一部で内部に植物が入り込み繁茂しているものの、大規模な損壊等はなく、ベッドなど往時の家具類もそのまま残されている。
小与島は瀬戸大橋の通過する与島から東に300m沖にある島で、現在は定期航路はなく、チャーター船で渡るしかない。
また、小与島では良質の花崗岩が産出したためかつて採石業が盛んであったが、近年は資源枯渇と安価な石材輸入によって圧迫されている。そのため、採石関係の施設跡なども見られる。